SaaSに移行した方が良いのだろうか。本当に考えるべきことは何でしょうか?
① よくある「行き詰まり」の正体
最近、テレビCMやネットの広告などで次のようなサービスを目にする機会が増えていませんか?
- STUDIO(スタジオ)
- Wix(ウィックス)
- ペライチ
- Jimdo(ジンドゥー)
これらのサービスは「SaaS(サース)」と呼ばれ、「専門知識がなくても、パズル感覚でホームページが作れる」「日々の更新もスマホやパソコンから簡単にできる」「面倒なサーバーの管理がいらない」といった便利な特徴が紹介されています。
その一方で、今のWordPress(ワードプレス)の運営に対して、次のような不安やストレスを抱えている方も多いはずです。
- 開くたびに増えている更新通知がストレス
- プラグインの管理がごちゃごちゃしていてよく分からない
- セキュリティ面でトラブルが起きないか常に不安
- 結局、すべて制作会社に任せきりで自分では何もできない
そのため、「こんなに悩むくらいなら、いっそSaaSのサービスに引っ越して(移行して)しまった方が楽なのではないか」と思い始めています。
② 「今のままで大丈夫」という思い込み
多くの方はこのように考えがちです。
WordPress = 専門的で難しい SaaS = 初心者でも簡単
あるいは、
WordPress = 自分たちで色々と管理が必要 SaaS = 面倒な管理は一切不要
このような分かりやすいイメージを持たれることがよくあります。 そのため、「SaaSへ移行しさえすれば、今ホームページの運営で抱えている悩みやイライラがすべて一瞬でなくなる」ように見えてしまいます。
③ 立ち止まって考えてみましょう
しかし、ここで一つ冷静になって考えてみてください。 もし本当にSaaSのサービスがすべての問題を解決する「完璧な正解」なのだとしたら、なぜ多くの企業は今でもWordPressや、自社専用の独自システムを使い続けているのでしょうか。
逆に、なぜ今わざわざ実績のあるWordPressからSaaSへ引っ越す企業もあるのでしょうか。 どちらの仕組みも世の中にたくさん存在しているということは、単に「簡単か難しいか」ではない、別の判断基準があるのではないでしょうか。
④ 知っておきたい「本当の仕組み」
実は、SaaSは単に「ホームページを簡単に作るための仕組み」ではありません。 本質的には、「ホームページ運営の手間や責任の一部を、まるごと外部の専門会社へ委ねる(お任せする)仕組み」なのです。
例えば、WordPressでホームページを動かす場合、自分たち(または契約している制作会社)で次のような裏方の仕事を管理する必要があります。
- サーバーの契約やメンテナンス
- システム本体やプラグインの更新管理
- 万が一のときのためのバックアップ管理
- 不正アクセスを防ぐためのセキュリティ管理
一方、SaaSを利用する場合、これらの面倒な裏方の仕事のほとんどを、サービスを提供している会社側が裏側で自動的に担当してくれます。 つまり、技術的にどちらが優れているかという違いではなく、「どこまでの仕事を自社で持ち、どこからを外部に任せるか」という、責任分担の違いなのです。
⑤ ついつい陥りやすい「勘違い」
ここで、つい陥りがちな勘違いがあります。
それは、
SaaSにすれば = これからは何も管理しなくてよくなる
と思い込んでしまうことです。
しかし実際には、すべての管理がいらなくなる(管理不要になる)わけではありません。正しくは、「自分たちが管理すべき対象(中身)が変わるだけ」なのです。
確かに、サーバーやシステムそのものの管理は劇的に減ります。 しかし、その代わりに次のような管理はしっかりと自社に残ります。
- 毎月の利用料金や契約プランの管理
- ホームページに載せる文章や画像(コンテンツ)の管理
- スタッフがログインするためのアカウントやパスワードの管理
- そもそも自社のビジネスにどのサービスが一番合うかという選定
決して、ホームページに関するすべての管理が魔法のように消えてなくなるわけではないのです。
⑥ ここに大きなリスクが隠れています
ここで本当にお伝えしたいのは、「SaaSにはこんな落とし穴があるから危険ですよ」というお話ではありません。むしろ、人手の足りない中小企業や小さなお店にとっては、非常に賢く合理的な選択肢になる場合もたくさんあります。
しかし、導入時の「手軽さ」や「便利さ」だけに目を奪われると、次のようなポイントを見落としがちになります。
- 将来的にさらに大きなホームページへ引っ越したくなったとき、スムーズに移行できるか
- 今まで書き溜めたブログ記事などのデータを、外にきれいに取り出せるか
- ビジネスが成長したとき、必要な機能を後から自由に追加できるか
- 万が一、そのSaaSのサービス自体が終了してしまったらどうするのか
つまり、使い始める時の便利さだけでなく、「5年後、10年後もそのまま継続して運営していけるか」という長い目線での計画が必要になります。
⑦ 「ここ」を見て判断してみよう
では、私たちは何を基準に考えればよいのでしょうか。
ここで見るべきなのは、「そのSaaSの機能が便利そうかどうか」ではありません。
本当に見るべきなのは、「ホームページの裏側の仕組みのうち、自分たちは何を自社でコントロールしたくて、何を外部に丸投げしたいのか」です。
SaaSが向いているケース
- 日々の管理にかかる負担や時間をとにかく減らしたい
- ホームページの手入れを担当するスタッフが社内にほとんどいない
- 独自の複雑な機能は必要なく、シンプルな会社案内やお店の紹介で十分
- サーバーやシステムといった技術的な管理に一切関わりたくない
WordPressや独自の構成が向いているケース
- 今後、ビジネスに合わせてどんどん新しい機能を追加していきたい
- 自社ならではの特殊なこだわりや、譲れないデザインの要件がある
- 将来的にホームページの規模をどんどん大きくしていく拡張性を重視したい
- 社内の他のシステムや、外部の顧客データなどと連携させたい
重要なのは、世間の評判や便利さではなく、自分たちのビジネスへの「適合性(相性の良さ)」です。
⑧ ホームページは、今どのようになっていますか?
では、みなさんのホームページはいかがでしょうか。
本当に、日々の管理の手間そのものを減らしたいのでしょうか。 それとも、今は仕組みがよく分からなくて「管理できていない状態」になっているから、そのモヤモヤを解消したいのでしょうか。
この二つはとてもよく似ていますが、実は全く別の問題です。 また、もし今大慌てでSaaSへ引っ越した場合、今抱えているホームページの課題は本当にすっきりと解決するでしょうか。
その本当の答えは、各サービスのきらびやかな紹介ページをいくら眺めてみても書いてありません。
⑨ 「ここ」から始めてみませんか?
もし少しでも「どうすべきか」と迷っているのであれば、まずは「どのSaaSのサービスを使おうか」と選ぶ前に、「自分たちで何をしっかりと持ち、何を手放したいのか」を一度整理してみてください。
具体的には、次のようなポイントをノートに書き出してみる方法があります。
- 実際のページ更新の頻度
- ホームページに絶対に欠かせない機能
- 社内で用意できる管理の体制
- 将来的にホームページをどうしていきたいかという計画
- 技術的なトラブルに、自分たちでどこまで関わる覚悟があるか
これらを自社で整理してみる。あるいは、現在のホームページの運営状況をプロに一度客観的に診断してもらう。もしくは、「WordPressを綺麗に整えて続ける場合」「シンプルな静的HTMLにする場合」「SaaSへ移行する場合」の3つの選択肢をプロに並べて比較してもらう、という方法もあります。
大切なのは、世間で流行っている便利そうなサービスに飛びつくことではありません。「自分たちのビジネスにとって、最も心地よく、適切な責任分担の仕組みを選べる状態になること」。そこが見えるようになることが、何よりも大切なのです。
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